久遠の空 ドリーム小説 2012年拍手文 一月 

お前への不満×20    1.鈍感すぎるのを何とかしろ

「お待たせしました」
涼やかな声がし、目の前に緩やかな湯気をたてる湯呑みが置かれる。
湯呑みから離れた瞬間、俺は白いその手をぐっと握った。

お前は急に手を握られて、きょとんとする。
そして、手から視線を俺に移した。


「…あの、何か?」
小首を傾げて、お前は聞く。
まあ普通の反応だ。
お前の手に何かついてるわけじゃねえし、用もないのに手を握る間柄でもねえからな。


だがよ。
だからこそこうして、手を握り、目を逸らさず見つめている時点で気づけよ。
俺がお前をどう思ってんのか。





「私の顔に、何かついてますか?」

違うだろ。
わからねえ奴だな。

「…」
顔を近づけてみても、顔色ひとつ変えやしねえってなどういうことなんだ。ああ?

ちっとだけ、睨んでみるか。

「私、何かご不興を買うようなことをいたしましたでしょうか?」

違うってんだろ。
本当に、わかってねえんたな。

「ああ、した」
そう言ってお前の手を振り払ってやる。

するとお前はそろそろと俺にいざり寄ってきた。
何だってそこで近づいて来るんだ、俺が近づいた時じゃなくてよ。

「すみません、覚えがあるというか無いというか…どういったことでしょう」

急にしおらしくなりやがって。
お前のその、俺の気持ちに鈍感なところが気に入いらねえ。
そう答えたら、お前はどんな顔をするんだろうな。


「教えねえよ」
前髪のばらつく額を指でぴしりとはじいてやれば、お前は小さな声をあげてそこを押さえて。


どんな因果があって、こんなオンナに惚れたのか。
自分でもわからず、ただため息だけが俺とお前の間に漂う。