久遠の空 ドリーム小説 八景集 夜雨あがって

八景集 夜雨あがって



 「よう、
 「うぃーッス」
 「あ、原田さん、永倉さん、おはようございます」

 「ゆうべはすげえ雨だったな」
 「そうですね」
 「あんな雨の中も巡察へ行けだなんて、土方さんも鬼だよな。俺たち、すっげえズブ濡れになっちまったよ」
 「それはお疲れ様でした」

 「で、なぁ
 「はい」
 「ゆうべ、俺、見ちまったんだよ」
 「?」
 「雨の中の巡察で冷え切った俺は、帰ってきてからしばらくしても寒くて眠れなかった」
 「はぁ…」
 「厠が妙に近かったんで、ゆうべは何度か小便しに行ったんだがな」

 「お前と土方さん、相合傘で帰ってきただろ?」
 「ぶふふ! そうだろ!」
 「相合傘って…確かに同じ傘には入ってきましたけど」
 「ヒュー! やっぱりな! ったく、おとなしい顔をして見せ付けてくれるじゃねえかよ!」
 「別に…そんなんじゃ…」
 「照れなくてもいいんだぜ、あの雨の中をお迎えだなんて、土方さんはよっぽどお前にホの字なんだな!」
 「あの…」

 「で、どうなのよ、あの後二人で雨に打たれた体を温めあったりとかしちゃったワケ?」
 「誰にも話さねえから、オニイサンたちにちょっとしゃべってみ?」
 「えっと…その…」
 「ほらほら、もったいぶらない! ささ、しゃべって楽になっちゃいなさい!」
 「もったいぶってなんていませんけど、お二方」
 「「ん?」」

 「…後ろ」
 「へ?」

 「お前ら…」
 「ひ、土方さん!」
 「随分楽しいオハナシしてんじゃねえか? ああ?」
 「ひいい! ちょっと、何で鯉口切ってんだ土方さん!」
 「馬鹿は死ななきゃ治らないって言葉があんだろ? 本当かどうかちっと試してみてえな…」
 「や、やめろ土方さん! うわっ、危ねえ!」
 「待ちやがれ!」
 「死ぬ、本当に死ぬっつーの! せめて竹刀に」
 「貴様らが竹刀なんざで死ぬようなタマか! 神妙にしろ!」
 「うわあ、すまん! すまんかった土方さん! 勘弁してくれー!」
 (…懲りない人たちだなあ)






 20090515