久遠の空 ドリーム小説 Excuse Me? 9

Excuse Me?

update:2007.09.09

Excuse Me? 9 

 何か心当たりはないかと近藤に問われ、土方は斎藤と三人で買い物に行ったときの一部始終を話した。
 「そうか、夷人と公用方と、そういうことがあったのか」
 近藤はしげしげとを眺めて言った。
 「たいしたことじゃないと思って黙っていたが・・・公用方はを呼び出してどうするつもりなんだ?」
 土方は腕を組み考え込んだ。
 「夷人と会話するような人物は御預にできないと言う事で浪士組を追放か、それとも危険人物として軟禁とか」
 土方は考え付く限りの可能性を挙げた。
 暗い要素ばかりしか思いつかない。近藤との頭にも同じような事しか浮かばなかった。

 「攘夷の機運が高まっている今、あまり楽観視は出来んな・・・」
 近藤は溜息をついた。
 「しかし行かんわけにもいかねぇしな。俺もついていっていいか、近藤さん」
 そして万一の場合、その場に共にいた自分が口添えをするしかない。そう思い土方は口を開いた。
 「これから考試がある。局長が全員不在の中、副長まで欠いては示しがつかん」
 近藤が再び溜息をつきながら言った。
 「そりゃそうだな、山南さんも巡察に加わっている時間だし・・・芹沢たちなんか行かなくていいからよ、俺を行かせてくれりゃあいいのに」
 米神を抑えて土方も溜息を漏らす。
 「でもなトシ、もし君を今更悪い方向にしようと言うのなら、わざわざ黒谷まで呼び出さずともすぐにしょっ引いて行くと思うんだが」
 思いついて近藤が言った。
 「公用方と会ってからふた月半近く経っている。居所もわかっているのに、いくら何でも処断するのには遅いんじゃないか?」
 「その間にどうしようかでモメてて、やっと答えが出たのかもしれねぇぜ?」
 土方が近藤の救いをにべもなく切り捨てた。

 「・・・でも、行かなくちゃならないんですよね」
 それまで黙っていたがぼそりと言った。
 「あぁ」
 土方が返事をした。
 「じゃあ行きます。局長、お連れ下さい」
 思いのほかしっかりとした口調で、は近藤に頭を下げた。



 「大丈夫か」
 「仕方無いじゃありませんか、命令なんですから」
 ふた月前の会津藩からの召集後に作った黒い羽織を行李から出し、は土方に背を向けたまま準備を進めた。
 「一体何のつもりなんだかさっぱり見当がつかん。近藤さんが一緒だからきっとかばってくれるとは思うが・・・」
 「どうなっても仕方ありません。私が軽はずみな行動をしたから結果ですから」
 は羽織に袖を通した。
 後悔はしていないが、よく世情を知らずにとは言えやってしまったことだ。今更ながらその報いが来たに違いない。そう自分に言い聞かせた。
 「俺もついて行きたいのは山々だが・・・」
 「土方さんは大事なお仕事がおありでしょう」

 羽織の裾が折れていないか確認すると、やっとは土方のほうを向いた。
 「土方さん」
 「何だ」
 「お世話になりました」
 すっと畳に座し、は跪いて礼をした。
 「何してやがんだ」
 土方も釣られて膝を付く。
 「もし私が帰ってこられなかったら、私の荷物は燃やして下さい。それと斎藤さんにもお礼を言っておいて下さい。ご迷惑をおかけしました、 でもお二人にお世話になったおかげでこれまで平穏に暮らして来れましたと」
 「バカ言ってんじゃねぇ」
 土方が顔色を変えての肩を掴み、顔を上げさせた。
 「もしもの事をいろいろ言ってたのは土方さんじゃないですか」
 はまっすぐに土方を見据えて言った。

 言われて土方は答えに詰まった。
 確かに最前、考え得る可能性を口にしたのは自分だ。
 だが、いざそれが現実になってしまうかもしれないと彼女自身の口から聞かされると。

 土方はをぐっと引き寄せた。
 の視界が土方の着ている羽織の黒に染まり、目の端には彼の家紋である左三つ巴がぼんやりと映る。
 「・・・だ」
 土方の体温が着物越しに感じられた。
 「え?」
 よく聞こえず、は問い返す。
 「大丈夫、だ」
 土方の頭が傾き、唇がの耳をかすめた。

 ふと押し黙った後、土方の腕にがくつくつと震えるのが伝わってきた。
 「何がおかしい」
 回していた腕を緩め、土方は眉を寄せて言った。
 「師匠譲りなんですかね」
 ふふっとは笑った。
 「何がだ」
 「前に黒谷にお伺いしたときに、沖田さんがリラックス・・・いえ、あまり緊張しないように私に言ってくれたんです。今の土方さんがその時と同じように思えたので」
 「総司なんかと一緒にするな」
 土方は勃然として、突き放すようにを腕から開放した。
 「すみません・・・と言ったら沖田さんに失礼ですよね」
 どうしよう、と一人ごちながらは含み笑いが止まらない。
 「ったく、少しは神妙にしやがれ」
 これから召し出しだって時に、と土方はの頭を小突いた。
 「すみません」
 はようやく笑うのを止め、羽織の紐を結んだ。

 「局長、お待たせいたしました」
 が近藤の部屋の前で声をかける。
 「ああ・・・では行こうか」
 近藤が部屋から出てきて、心配そうな顔での姿を上から下まで眺めた。
 自分と同じように黒の羽織を着、背筋をぴんと伸ばしてこちらを見つめている。
 「はい」

 近藤が先に立ち、が後ろに付いた。
 廊下に出た土方の前を二人が通り過ぎる。
 土方はまず近藤と視線を合わせ、目で“を頼む”と伝えた。近藤は小さく、だがしっかりと頷いた。
 次にに目を移した。は不安と緊張、そしてある種の覚悟を宿した目つきで土方を見て、すぐに視線を逸らした。
 土方は目で何かを返すことも出来ずにの後姿を見送ることになった。

 大小の黒い背中が廊下を曲がって行く。
 追いかけて門まで送ろうと片足を浮かせかけた時、
 「土方さん、そろそろ考試に集まってくる頃だぜ」
 永倉が土方に声を掛けに来た。

 「・・・あぁ」
 土方はクッと笑いを漏らした。
 俺は何を考えているんだ。近藤さんを男にするために京に上ってきたんじゃねぇのか。そのために何をすべきか見失っちゃならねぇ。
 「少ししたら行く。始めててくれ」
 永倉はわかった、と返事をして庭に消えた。

 土方は自分の部屋に入り、障子を閉めた。そして襖を開け、の行李を取り出した。
 こちらに来てから買った品々の下に、風呂敷に包まれて隠されているのは彼女が現れたときに身に着けていた衣服と、シャシンと言うものが写る奇妙なカラクリ。
 土方はしばらくそれらを眺めていたが、元通りに包み直して行李に収めて襖を閉めた。
 そして廊下へ出て、考試が始まった庭へと向かった。





 「本日は山口も一緒にと書かれていたが、どうしたのじゃ」
 芹沢が近藤の後ろに立つを見て聞いてきた。
 「私にもわからないのですが、ご一緒させていただきます。よろしくお願いします」
 は芹沢と新見にも頭を下げて挨拶した。
 「浪士組の幹部でもないのに呼び出しとは、前川邸はわからん奴らばかりだな」
 探るような目つきで新見は言った。
 「ははは、ごもっともですな。では参りましょう」
 曖昧に躱すと近藤は皆を促して歩き始めた。

 薄い雲がたなびく空を仰ぎ、芹沢・新見・近藤・そしての4人は一刻弱の時間をかけて歩いた。
 近藤たちはさすがに足腰が強靭な上に歩き慣れてるせいか、すたすたと早くリズミカルに歩を進めていき、は内心必死になって付いていった。


 到着したのは黒谷、金戒光明寺。
 訪れる者に覆い被さるような巨大な山門を要し、多くの宿坊を備えたこの寺は、京都守護職を預かる会津藩一千人の本陣である。
 小高い丘の上にあり寺自身の守りも固く、御所にもそこそこ近い。守護職屋敷が完成するまでの間ではあるが、当面の会津本陣として充分な立地条件であった。

 控えの間に通されたは汗を拭った。
 息を整えながら近藤たちの健脚に改めて驚嘆した。さすがは武人である。

 徐々に静まってくる呼吸とともに、これからのことに思いを巡らせた。
 もし何かあっても、自分一人のことならいい。しかし土方や斎藤にまで類が及ぶのは絶対に避けたい。
 別の時代からやってきたことを一緒になって秘してくれて、この時代に同化できるようあれこれ取り計らってくれた彼らに、恩を仇で返すような真似はしたくない。
 不在だということにしてもらえばよかった、と今更ながら考えもしたが、守護職松平容保に心酔している近藤に嘘をつかせるのもためらいがある。

 召し出しと会津藩を結び付けるのは、やはり先日の異国人とのことに相違ない。だが、そこからこの後の謁見で何がどのようになるのかはまったく見当がつかなかった。
 「山口、そわそわとするでない。みっともないぞ」
 新見が落ち着かない様子のを見かねて小さな声で注意した。
 「す、すみません」
 はっとして居住まいを正し、は背筋を伸ばした。
 土方の前で“仕方が無い”と言ったのは自分ではないか。もうこれ以上考えてもそれこそ仕方が無い。
 は一度目を固く閉じて、開いた。



 四人は謁見の間に通された。芹沢・新見・近藤が前に座し、は後ろに控えた。
 四人の座る前方には、左右に会津藩の公用方十八名がずらりと勢ぞろいしていた。
 「御成りである」
 先触れの者が告げ、その場にいる全員が深く土下座をした。

 松平容保が入室してきた。
 頭を下げているため様子は分からないが、衣擦れの音だけが静まった部屋に響く。
 さわりと着席したような音がして、衣服の動きが止まった。

 「面を上げよ」
 容保の声が場に響いた。
 年若いが落ち着きのある、芯の通った太すぎず細すぎない声。
 は前に座る近藤たちの動きを見ながら、注意深く頭を上げた。

 「本日は誠に足労である。最近の巡察における京の様子の報告せよ」
 秋月が一分の隙も無く張り詰めた空気を身に纏い、いかめしい面構えで近藤たちに言い渡した。
 「はっ」
 芹沢・新見・近藤の順に、それぞれが巡察中に見聞きした町の様相を報告した。
 あれだけ飲んで騒いでいるだけの印象が強いにも関らず、芹沢たちもそれなりに情勢を掴んでいて、近藤たちが知らないような場所での不穏な空気を報告していた。
 容保は報告のひとつひとつを不動の体制で聞いていた。そして
 「左様であるか。油断は禁物である。今後も一層忠勤に励むように」
 と申し渡した。
 「はっ」
 前列の三人は返事をして平伏する。
 も静かにそれに倣った。

 「さて」
 と秋月が短く言葉を発した。
 の心臓はどきりと高鳴る。

 「本日は山口殿にもご足労願ったわけだが」

 ドクン。

 「用と言うのは他でもない。我が会津藩では古来より学問の場を推奨し、民間の稽古堂・藩士の子弟のための郭内講所などを経て、五代藩主松平容頌様が建設された藩校日新館と発展し現在に至っている」
 秋月が説明を続ける。

 自分に何が求められているのかを聞き漏らすまいとして、は不安に高鳴る鼓動を抑えて耳を澄ませた。

 「七代藩主容衆様の江戸湾警備や先代の八代藩主容敬様の房総警備の際も、陣屋に学校を設置して間断なく勉学に励み、京都守護職を拝命している今も、この金戒光明寺の宿坊のいくつかを学校に当て、研鑚を積んでいるのだ」

 近藤たち三人も恭順の姿勢を崩さずに、何故役職でない山口が呼び出されたのかを聞いていた。

 「・・・それをさる方に見込まれて、実はこの度光明寺に洋学所を置く事になってな」

 些か嘆息気味に秋月は言った。

 「そこで洋学を修める者を藩士から集めようという次第になったのだが、攘夷に沸く昨今、なかなか異国語を学ぶことに首を縦に振る者がおらんのだ」

 「さる方がおっしゃるには、今後は異国との折衝は外交の重要課題になる、今から人材を育てておかねば日本国にとって危機をもたらすと」



 「そこで過日、街中で異国人と意思の疎通を図っていた山口殿に、当藩学校で英吉利語を学んでいただきたいと」



 まさか。
 浪士組追放か軟禁か、それ以上の最悪な事態までちらりと頭を横切っていたのに。
 そのうちのひとつだったらこんなにも動揺しなかっただろうに。

 もしこの話を受けたらどうなるのだろうか。
 “出来るだけ他人と関るな”“単独行動厳禁”“異国語厳禁”“公用方に気をつけろ”―――――
 土方と斎藤に注意された言葉が脳内を占める。

 そしてもしこの話を受けなかったらどうなるのだろう。
 近藤や土方、斎藤らの顔が浮かぶ。同じ浪士組の中から、雇い主である会津藩主の頼みを断った者が出たとして何らかの処分がなされるのだろうか。

 それだけは。


 は意を決して、近藤の羽織の裾を引いた。
 「近藤局長」
 「何だい」
 僅かに後ろを向き、小声で近藤が答えた。
 「この話、お受けしようと思います」
 は震える声で近藤に告げた。
 「しかしながら、藩主様にどうお返事をすれば失礼がないかわかりません。お手数ですが、局長からその旨をお伝えしていただけますでしょうか」
 「いいのかい?」
 「・・・はい」

 実際、にとってはそれが精一杯だった。
 受けたほうがいいのか、受けないほうがいいのか、近藤に言ってしまった今でもどちらなのか判断できない。
 土方や斎藤はどう思うだろう。
 それに、時代の違う身分が上の人とどう話したらいいのかも知らなかった。ヘタな言葉遣いで恥を掻くのは己のみではない。信頼できる誰かに任せる のが一番だと思った。

 「恐れながら申し上げます。後ろに控えます山口に成り代わりまして私、近藤が返答いたします」
 前を向き直った近藤が深々と頭を下げながら、公用方のさらに奥に鎮座する松平容保に向かって言上を始めた。

 (土方さん、斎藤さん――――――)

 祈るような気持ちで、は近藤の言葉を聞いた。





 壬生、前川邸。
 朝から新入隊士の募集を待っていたが、集まりは悪かった。まだ碌に実績も無いため、知名度は低かったから当然だった。
 昼前の時点で、考試に残してもよさそうな人数は僅か数名だった。あまりの集まりの悪さに土方は原田たちを近隣の道場に派遣し、考試への参加を呼びかけさせた。

 昼をやや過ぎた頃、少しずつ人が集まってきた。
 先ほどの呼びかけでやって来た者もいれば、事前に聞きつけていて遠くからやっと京へ到着した者もいた。
 ある程度の人数が集まったところで全員が面を付け、二人一組で剣術の腕前を披露する運びとなった。

 庭に男たちの気合が木霊する。竹刀の鋭く打ち合う音が重なる。
 沖田は楽しそうにそれを聞きながら全員の動きを見ていた。
 (なかなかこれは・・・)
 腕に覚えがあって考試に来た、覚えが無くとも攘夷の志だけで考試に来た、それが竹刀の描く軌道で分かる。
 剣術はやっていても見ていても面白さに切りが無い。沖田にとって剣術とはそういう対象だ。

 昼餉を取った土方が庭にやって来た。
 「そろそろ区切りますか、土方さん?」
 土方に気が付いた沖田が竹刀を肩に担いで声をかけた。
 「ふん、どうだ総司。新入隊士としてめぼしい者はいるか?」
 腕を組んで土方が近づく。
 「そうですねぇ――――」
 沖田が左手を上げて候補者を指さした。


 同時刻、前川邸より至近。
 近藤は急いでいた。新入隊士の考試に間に合うために。
 行きよりも速い足取りだったが、誰も何も言わなかった。
 芹沢と新見はが――山口が会津藩主直々に謁見を請われ、会津藩士だけが出入りできる学校に招聘されたことに焦燥を感じていた。たかが一介の明石藩士の三男のくせに。巡察にも参加せず、剣術もからきしのくせに。
 はその気配を感じながら、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
 日夜京の治安のために努力している近藤たちを差し置いて、まさかあんなことに――――

 前川邸に到着した。
 近藤は我先に門をくぐり、庭に足を運んだ。
 続いて芹沢と新見も庭に入る。
 は門の前でゼエゼエと息を乱して立ち止まった。急いでいる男の足に追いつきながらの一時間半はキツかった。
 このまま表門から入っては、考試の場に即ぶつかってしまう。
 これから土方に正確に事の次第を報告しなくてはならない。
 土方の顔を見る前に裏門に回って中庭の井戸へ向かい、汗を拭ってから釣瓶を引き上げた。水で顔を洗い、一口飲んだ。
 しばし井戸端に佇んで、金戒光明寺でのあれこれをもう一度頭の中で整理した。

 話しながら廊下をやって来る足音が聞こえてきた。はそちらに目を向けた。
 「あ、沖田さん」
 「さん。丁度よかった、新入隊士の方をご紹介します」
 沖田は隣に立つ小柄な少年を前に押しやった。

 「神谷清三郎さんです。元服前ですが、すばしこくていい動きです」
 「神谷清三郎と申します。よろしくお引き回しの程を」
 笑顔と丁寧な言葉遣いで挨拶した少年は、とても可愛らしい顔をしていた。
 (うわぁ、女の子みたいな顔立ち・・・)
 の彼に対する第一印象はそれだった。でも、元の時代でも少女のように愛らしい面立ちの少年はテレビでいくらでも見ていた。別段不思議 だとは思わなかった。

 「山口です。以後お見知りおきを」
 も庭から頭を下げた。
 「さんは内向きの仕事をしていただいてます。いろいろ教えてあげてくださいね」
 「私でお教えできることがあれば喜んで」
 努めて低めの声でそう言うと、沖田と神谷はお辞儀をして廊下を進んでいった。

 がやがやと騒がしい声が聞こえてきて、巡察に行っていた一同が帰ってきた。
 土間を通り通用口から庭へ出ると、表門から原田たちが入ってくるのが見えた。
 「おかえりなさい、お疲れ様でした」
 「おー、今帰ったぞ」
 先頭を歩く原田が、浅黄色の隊服を翻しながら入ってきた。
 「も黒谷から帰ってきてたんだ?どうだった、按配は」
 藤堂が原田の後ろから顔を出した。
 「はい、お陰様で無事に」
 「新入隊士の考試はどうなってる?」
 山南が聞いてきた。
 「もう終了したようですね。ひとり可愛らしい方が入隊してましたよ」
 解散して誰もいなくなった庭に目を遣りながらは答えた。
 「そうかい、私は汗をかいたので水を浴びてくるよ」
 そう言って山南は井戸へ向かった。
 原田たちは可愛らしいヤツってのはどいつだと言いながら邸内へ入っていった。


 誰もいなくなった庭に風がひゅうと吹いてきた。
 考試も終わり、土方たちも一段落ついただろう。そろそろ報告に行かねばならない。
 どう言われるかわからないが、ともかくひとつの結論を出しては来た。
 は土方の部屋へと足を踏み出した。



 20070908




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 参考文献:
 『シリーズ藩物語 会津藩』野口信一 現代書館 2005年
 『幕末会津藩主 松平容保』 帯金充利 叢文社 2006年
 『白虎隊の学舎 会津藩校日新館』 会津藩校日新館 1994年